第116回ご縁結びのコーナー 株式会社 Kamakura Kazoku 関さんご夫妻 〜事業承継の前に家族会議・家族承継を中心として〜

ー杉浦佳浩

第116回ご縁結びのコーナー 株式会社 Kamakura Kazoku 関さんご夫妻 〜事業承継の前に家族会議・家族承継を中心として〜


2024年 09月 10日

株式会社 Kamakura KazokuのHPはこちら。

非営利型会社DaidaiのHPはこちら。

アトツギビジネスブームと言っても過言ではないほど、ありとあらゆるイベントやらピッチやら、集客という名の下で、事業承継、M&Aに関わる企業や人が群がり、会社と株だけに目が行く輩が金銭目的で擦り寄ってくる、そこにホイっと乗っかったら最後、家族が離散、会うことも無くなっていく。そんな悲惨な状況を憂い、何かが間違っている、と気づく方々も増えてきたと思っています。中小企業にとってまずは家族が大切、でもなかなか家族との絆を重んじてそこに突っ込んでいくことは難しいと思います。この難しいエリアに夫婦でお手伝いをされているのが今回の関さんご夫妻です。家族会議から事業を把握する、本当に大切なこと、尊いことを仕事にされていると思い、感じ入りました。これからの事業【大】承継時代になくてはならない人(ご夫婦)、会社であることを確信しています。

【2024年7月平田牧場さんにて関さんご夫妻と】

◆関さんご夫妻との出会いは名古屋から。。。

会社名からも鎌倉に在住の関さんご夫妻ですが、出会いは、お二人とも名古屋から。これも不思議なご縁なのですが、嬉しかったのは、名古屋での出会いの遥か以前から会ってもいないそれでも私の存在を追いかけていただいていたそうです。本当に有り難いこと。私が、NewsPicksさんに取り上げてくださった際、また日経ビジネスさんでも同様に、その記事をご覧いただいていて、今回のインタビュー時に憧れでしたとコメントくださいました。関さんとは、2023年の9月奥さんとは2024年3月、共に名古屋で。お二人とのご縁は、アルファフードスタッフの浅井さん。来年100周年の4代目の社長さんです。

第6回浅井会(名古屋杉浦会)にわざわざ私に会うためにご参加くださった際、私は少し圧を感じて引き気味ではありましたが。熱心にお話しくださったことを今も思い出します。奥様も同様にお子様の関係もありギリギリ終電に走るところまで名古屋に居てくださいました。改めて感謝申し上げます。

関さんのニックネームについて、浅井さんのご紹介時から、『マーニーさん』という、聞きなれないお名前。インタビュー時にお聞きすると、学生時代所属していたラクロス部でのあだ名で特に大したお話ではありませんと。でも今後は、家族マニアが転じて、マーニーさんと名乗ろうかと話してくださいました。

浅井さんとは2021年に参加していた、オンライン講座で知り合い、関さんのご夫妻の取り組みである家族視点の事業承継に関心を持ち、今ではご夫婦で関さん夫妻と仲良しに。講演まで浅井さんが引き受ける関係性に発展されています。これからのご縁の発展に私も興味津々であります。

【関さんご家族の写真】

◆お二人のプロフィールと起業のきっかけについて

株式会社 Kamakura Kazokuの代表取締役は奥さんの関尚子さん。プロフィールを以下に。

・神奈川県出身。2004年明治大学政治経済学部卒業。同年横浜銀行入行。 綱島、日吉、本店営業部などに所属し、家族向け相談業務に10年携わる。 育児3人介護2人に向き合うため、退職。(詳細noteをご覧ください) 家族か仕事ではなく、すべてを一体化できるような生き方をしたい、 また、元経営者の一人娘としての原体験(詳細は代表挨拶)を形にしたいと家族で対話を重ね、起業を決意。神奈川県の起業家創出拠点HATSU鎌倉の起業支援プログラムに採択され、2020年12月夫婦で起業。

取締役CHO(Chief Happiness Officer)のご主人、関清一郎さん。同様に。

・広島県出身。2006年横浜国立大学経営学部卒業。同年横浜銀行入行。税理士法人山田&パートナーズ出向を経て、2016年青山財産ネットワークスに入社。日本M&Aセンターとの合弁会社事業承継ナビゲーターにて、事業承継後の経営者・家族向け相談業務の責任者を務める。

一般社団法人金融財政事情研究会が、 株式会社日本M&Aセンターおよび株式会社きんざいと創設した認定制度「事業承継シニアエキスパート認定資格」の講師やファシリテーター経験豊富。

というお二人とも銀行ご出身、どちらかというとリスクを取って起業とは真逆の場所におられた職業がファーストキャリア。そこから二人で決断をし、まだ誰も見たことのない、家族を大切に、根本に捉えた事業をスタートさせます。

覚悟と想いの崇高さは、同社HPに掲載されています。お二人のメッセージから。

尚子さんのメッセージ→3人の子育てと両親の介護の中では大変なことも多くありましたが、人とのつながりをたくさん感じられる機会にもなりました。

ひとり苦しく押しつぶされそうになったときに、パートナーや仲間からの「話を聞くよ」という傾聴と、「大変だったね」と寄り添う言葉に心を救われました。

たくさんの役立つ情報も必要ですが、心に寄り添ってくれる人がいるだけで人は前を向けるのだと思います。「役に立つ」以上に「意味のある」対話の積み重ねで人生は豊かに彩られるはずです。

私が大切にしている価値観の「思いやり」とは、自分自身の悩み苦しんだ体験を基に人に寄り添うことです。

「自分が苦しんだ経験は他の人にはさせない」心からそう思います。

普段の生活の中で流されてしまう、家族への思いやりや感謝を見つけて、ご家族へ伝えるお手伝いをさせていただきたいと思っております。

どうぞ、宜しくお願い致します。

マーニーさんのメッセージ→2020年9月に鎌倉移住、同年12月に覚悟を決めて夫婦で起業いたしました。

ドラッカーが言う「何によって覚えられたいか」の如く、 「ミライをつくる子供達3人からみてどんな父親だったか」を意識しながら、自分の価値観に従って悔いのない人生を過ごして参ります。

価値観の「ワクワク」は、具体的にはひとを大切にする人との出逢いです。

志ある経営者様とご家族を支援する「ファミリーファシリテーター」が天職だと、いま感じております。

同じ価値観を持つ仲間達と、「家族の幸せ」に貢献できるよう愚直に努力を積み重ねて参ります。

皆様との一期一会を楽しみにしております!

noteにあった、元銀行員夫婦が育児介護に向き合って起業を決めた理由。と【脱経済成長】CHOを目指す家族の物は心にズシンと響くものがありました。

育児3人に義母に加えて義父の介護が続いて、サラリーマンを卒業せざるを得なかったから。のコメントに退路を断つ、修羅場・土壇場・正念場が一度にやってきた中での起業であったことが容易に推察できます。お二人共に家族に起こったことを背景に、未来をキチンと捉え、子供さんたち、クライアント、その家族と未来に向かっていく覚悟が本当に素晴らしいと思います。

超保守的な感覚で銀行員になられ、そこからの実績、優秀でもありながら、銀行業務への疑問も感じていた、加えて人格者の上司との出会いもあればそうでない人もいる、そこに左右されない独立を選択するには相当の想いがあってのことと思いますね。ご本人のコメントにも、志ある仕事と、育児介護を両立できる道を探そうとありました。志ある仕事、まさにそうだと思います。

◆Kamakura Kazokuと非営利型会社Daidaiについて

2つの会社の存在。この違いは?分かりやすい返答がありました。

塾と家庭教師の違いなんですと。

塾→非営利型会社Daidai 集合して勉強していただく

家庭教師→株式会社 Kamakura Kazoku 徹底的に寄り添う。

変わらないコンセプトは、事業だけ承継はやらない。家族を通じた生き方の承継を大切にする。

インタビュー時に、アトツギピッチ等が盛んになっていることに、私も関さんご夫妻も、競っている場合ではない、競走ではなく共創の時代、皆で集い助け合っていくことが重要と捉えています。

まずはKamakura Kazokuについて、お二人にお聞きすると下記を提示くださいました。

◉大義  (子孫後世の人達から「よき祖先」となれるよう)次世代によりよいミライをのこしたい
◉具体的には何に取り組む?  家族円満な事業承継を実現する
◉目指す姿は?   経営者家族のchief happiness officer(幸せ係)
◉大切にしている原点(価値観)   家族と家族をつなぐkazokuでありたい。
◉具体的な事業内容(=価値提供)は?  各々の強みを活かした「ファミリーコーチング」「ファミリーファシリテーション」    ①後継者教育 1on1 ②親子夫婦2on2 MTG ③一族会議
◉他社にない強みは?  共に原体験を持つ夫婦での寄り添い力
◉私たちの紹介記事
①山崎かおり社長(中小機構の理事と対談) 記事はこちら
②家族承継とは? 記事はこちら

関さんにお会いした際に、まず説明があったこと、それが【スリーサークル】のお話し。これが一番分かりやすいし、伝わりやすい。

あるべき姿、最初に家族。まさにです。家族を蔑ろになっている現状、これを真正面から家族全員と向き合う。そこからKamakura Kazokuさんは大切にされています。

お二人の日常をお聞きした際に、クライアントの家族、父母、当人夫妻、親戚、個別のラインもあればそれぞれのグループ全てに対応しています。こんな大変なことを平然と話されていたことには驚きました。これが本当に寄り添っている証拠だと思います。承継とは無関係な家族間の相談も関さんがご夫婦だからこそ寄り添えることを腹落ちした次第です。自然に頭が下がります。

家族承継をより良くしていくために、掲げる3つの改善策も記載がありました。

【改善策】

①第三者のファシリテーター同席のもと、様々な対話の場を通じて家族のコミュニケーションを確保します。

②ビジネスの理念と適合したファミリーの理念を定めます。

③事業承継成功例(星野リゾート、ジャパネットたかた等)を参考に、次世代を見据えた三方よしの事業承継計画を進めます。

この改善策を行っていきながら、家族承継の視点も下記の様に定めています。

そして費用感をお聞きしてびっくり。低廉すぎる感じがしますが。。。が率直な感想でした。

非営利型会社Daidaiについて

最初に名前をお聞きした際に、ひょっとしてdaidaiは橙色からか?と思いました。私が一番好きな色でもあるので。炎を絶やさない、代々灯を消さない意味もこめられていました。

HPにあった由来を以下に。

・名前の由来としては、「先祖代々栄える」「代々続くいい会社をのこしましょう」の『代々』と、新潟燕三条で出逢った「伝統とは、灰を崇拝することでなく、炎を絶やさないことである」という言葉における炎の『橙色』から名付けました。

上記に加えて、最終利益については公益的な使い方 をすることを決めたため、「非営利型株式会社」を選択して、非営利会社Daidaiとして、共同創業者4人でスタート致しました。

想いと公益の実践が素晴らしい。同社のプログラムをHPから抜粋しておきます。講義、ゼミ、合宿を織り交ぜながら、承継学を学び、実践し、共創し、自立していく、単純な座学ではなく多彩な講師陣には、ご縁下の浅井さんも入っていらっしゃいます。
これからの時代、今までのお金の視点からの反省に立ち、変革が求められると思います。HPに掲げられた言葉に覚悟と未来を感じます→手数がかかる家族視点の承継をテーマにしている会社は一つもありません。また、家族を中心にする承継のスタイルは、一朝一夕に身に付くものではなく、模倣しようと考えたとしても、家族視点の事業承継経験者は容易には実施できません。

私たちは事業承継の業界も”量から質の転換期”にあると考えています。M&A業界内で表面化している問題がまさにその分水領だったと確信しています。需要が旺盛でお金視点の短期主義的なM&Aが主流であったスタイルから、家族視点の質の時代へ。

この質の担保に以下のプログラムが用意されています。

Kamakura Kazokuと非営利型会社Daidaiこの活動がセットになっているからこそ、家族視点の承継が深掘りされていくのだと納得しました。

◆山形県、県のプロジェクトとして採択

上記の写真は、非営利型会社Daidaiのプログラムが、山形県のプログラムに採択されたということ。関さんや浅井さんがチラシに登場されていることが分かります。その採択のキッカケが下記の写真、昨年の山形県、酒田へのツアーでのこと。仲良くしてくださっている、酒田の地元有名企業である、平田牧場さんに終日お伺いした際、夜の懇親会に酒田市の役場の方がお越しでした。そこで関さんが熱心に家族視点による承継学について説明。山形県でも新しい視点での事業承継講座を検討しているタイミングでもあり、公募型プロポーザルを経て、山形承継学アカデミーの後押しとなった次第です。出会いから1年未満で山形県内でご縁の輪が繋がった事は嬉
しい限りです。

【2023年酒田へ関さんは後列左から2番目】

◆徳之島について 2拠点生活を意思決定にびっくり
山形に続いて、嬉しいご縁がもう一つ、それが今年2024年2月に訪問した、鹿児島県の徳之島。空港に降り立った際から、呪文の様に、何度も、空港の名前を反復していた、関さん。それが、【徳之島子宝空港】子供を大切にする、ご近所の大人たちが集団で子供を育てる文化が今も残っている。古き良き日本の子育てへの考え方が今も実践されていることに感動したそうです。

滞在中の徳之島の皆さんの温かさを自宅に持ち帰り、家族会議を行い、家族でもう一度訪れることを意思決定されます。6月の終わりに、トライアスロンに挑戦しつつ、家族で徳之島を巡り、さらに素晴らしさを知ったことを報告してくださいました。

何よりお子さんが、何もない(自然がたくさんある)場所で大喜び、子供さんの未来のために2拠点生活も視野に入れることを意思決定した報告を受けました。なんと初訪から4ヶ月、2回目でのスピードに驚くばかり。

なぜ、徳之島なのか?の問いに

①世界自然遺産にも選ばれた大自然の中での子育て。

②「子は宝。」

子供は地域で育てる精神。徳之島「子宝」空港。出生率日本一。

③ひとも気候もあたたかい。

と3つの回答が返ってきました。

さらに、都内で開催されたイベントに出られたことが記事になっています(お名前も記事に)。
民間とタッグで移住相談 奄美からは伊仙町が参加 県、東京でイベント

家族会議で日常を変え、自然たっぷりの徳之島で会議を行う意味が十分にある、合宿もできる、相性がピッタリと納得されています。

徳之島で株式会社Kamakura Kazokuはさらに進化、発展し、学び合う仕組みへ。非日常を大切にし、その場を提供していく。家族の中からファシリテーターを出していく活動、事業だけ承継が無くなる世の中にしていこうと未来についても話してくださいました。

離島ツアーを継続してきて、関さんご夫妻のイキイキされている笑顔を拝見して本当によかったと思っています。感謝。

【鹿児島県徳之島ツアー】

◆非営利型株式会社Daidai 取締役 松本 純さんに、コメントをお願いいたしました

①関さんご夫妻のお仕事への姿勢 魅力

ご夫妻とお仕事ぶり、経験されたエピソード、魅力についてお教えください。


関さんは大学のゼミの先輩で当時から周りに愛されるキャラクターでした。大学を卒業してからご一緒する機会がありませんでしたが、神奈川県のインキュベーションセンターで15年ぶりにお会いしました。

当時は会社を起業される前の事業構想段階でしたが、会社を事業と株式の側面でしかとらえず、商品のように扱うM&Aの仲介業者がほとんどの中、家族を中心に据えた新しい価値観の事業承継が必要ではないかという想いとそれを実現するべく圧倒的な情熱で突き進んでいらっしゃった時期です(今もそうですが)。
※欧米の事業承継では、事業、株主、家族の3つの柱=スリーサークルを大事にするという考え方があります。

当時、私も何度か業界関係者と関さんご夫妻のお打ち合わせにも同席させていただきましたが、はっきり申し上げて誰も家族を中心にした事業承継の必要性を心から腹落ちして聞いてくれる人はいないように感じました。日本M&Aセンターの株価が1兆円を超えていた時期でしたし、凄まじい需要と高い仲介手数料、高い報酬から希望に満ちた業界の将来を感じている方ばかりで、誰も売り手経営者の一族にまで目を向けた丁寧な事業承継を行うべきだという思想は全く受け入れられなかったように思います。私は相対する方々から”そんなものが必要なのか?”という、少し冷めた視線を幾度となく感じました。

そんな中、一切信念を曲げることなく突き進まれる姿は、まさに開拓者という様相で、これまでの経験されてきた原体験によるものではないかと思います。私が印象に残っている、関さんが経験された事例を一つご紹介します。M&Aでは仲介会社と売り手企業との間で守秘義務契約が交わされ、家族にも関連する話をしてはいけません。その慣習に則って、経営者が家族に相談ができずに会社の売却を決定されました。売却後、奥様からは邪魔者扱いされ、息子さんからは相談してくれれば継いだのにという発言があったり、近隣からは先祖代々地域に根ざした企業を売却したと後指を刺され、売却された経営者は後悔から毎日ご先祖様のお墓に涙ながらに手を合わせていらっしゃったというお話です。


これが事業を売却した経営者や家族の姿なのか、もっと良い形の承継があったのではないか、とても悩んだと聞きました。そんな想いが今の家族を大切にする事業につながっていらっしゃるのだと想像しています。

いつもお客様の困ったことがあると親身になって話を聞き、出来うる限りの対応をされます。関さんご夫妻のご家族が心配になるくらい、昼夜を問わず走り回られています。何かとても困ったことがクライアントで発生した時にも、他でもない関さんご夫妻のところに経営者や後継者、経営幹部から連絡が来ているのをよく目にします。

我々士業は決まった型と相場感のあるサービスがありますが、関さんご夫妻が業界のファーストランナーとして切り開いていらっしゃるサービスには、型も相場感もありませんので、今の価格設定は低すぎるのではと思うくらいです(なので、依頼されたいと思われた方は今がチャンスです)。私はプロジェクトをご一緒する際に、1人の会計士・税理士として、本当に価値の高いサービスを行われているのは、関さんご夫妻だと感じています。クライアントとのお打ち合わせに士業の立場として同席すると、経営者やご家族の方が感情を抑えきれず涙される場面があります。涙ながらに、これまでの困難や現状を包み隠さずお話される姿を拝見し、如何に関さんご夫妻が経営者、その家族、従業員、取引先、地域社会のことを考えて、思いに寄り添っていらっしゃるのかが分かります。よく経営者は孤独だと言われますが、その孤独感すらいつの間にか関さんご夫妻がいることで安心感に変えてしまうような伴走支援です。

さらに親族承継の現場では後継者も大きな悩みを抱きます。現経営者だけでなく、後継者への伴走支援も関さんご夫妻の大きな強みの一つだと思います。

②kamakura kazoku Daidaiについて

この2社の活動について、なぜ応援(関与)したくなるのでしょうか。

この活動の意義、関わってきた中でのエピソードをお教えください。

まず、Kamakura Kazoku / Daidaiともに社会に必要とされている事業です。家族の悩みや事業の悩みを他人に赤裸々にお話しするのは少し憚られると思いますが、ファミリービジネスは、家族の支えなくしては成立しません。その家族の部分を蔑ろにした事業承継が主流になっている現状は変わっていく必要があると考えています。家族だけでなく、ステークホルダー全体まで想いを馳せるこの事業は、事業承継の量から質への転換機に多くの人から必要とされることになるはずです。

実際に関さんご夫妻が関与されている親族承継を前提としたクライアントで、現経営者、現経営者の配偶者、後継者、後継者の配偶者、後継者のご子息など沢山の一族を巻き込みながら承継という局面に進まれているプロジェクトを一定の期間を経ながら眺めています。現経営者の意識の変容、後継者の大幅な成長、承継に向けて議論の進展、家族として理念の再確認などファミリービジネスを次の世代に良い形で繋ぐための準備がしっかりなされていました。親子の関係では感情的になるような議論も、関さんご夫妻が入ることによって、確実に前進する形で積み上げられた結果だと思います。

次に関さんご夫妻の情熱とお人柄も応援したくなる一因です。多くの方が関さんご夫妻の情熱で事業に巻き込まれ、そのお人柄に惹かれる形でお付き合いを継続されているのではないでしょうか。Daidaiで半期に一度実施する合宿では現経営者と後継者やその配偶者含めて参加していただくイベントです。予定調和のない中、関さんご夫妻の熱いファシリテーションと参加者同士の対話で、毎回涙を流しながら新しい気づきについてスピーチしてくださる方がいらっしゃるほどの熱気があります。関さんからの事業承継に関連するSNSでの情報共有は、すごい頻度でびっくりされる方もいらっしゃるくらいの熱量ですが、そのお人柄も相まって、現経営者、後継者が集いSNS上でもコミュニティが形成されています。それぞれが持ち寄るテーマに対して活発な対話ができるような素敵な関係性が構築・維持されているのも、関さんご夫妻が生み出す心理的安全性が担保された場所だからだと思います。

③その他、関さんご夫妻のこと、事業のことなんでもこの機会に文字にしてもいいよ!ということをお書きください。


なんでも文字にして良いということでしたので、

いつも僕たち家族のことまで気にかけていただきありがとうございます。おかげさまで大きな問題もなく過ごせています。子供達もまた関さんファミリーと遊びたいと言っていますので、計画させてくださいね。

前も少しお話ししましたが、僕がとても尊敬する方に住宅建築で著名な方がいらっしゃいます。その方は74歳の現在でも日本全国からの依頼が後を断ちません。自分が最も情熱を傾けられる領域で、年を重ねて、技に磨きがかかり、さらに社会に必要とされるというのは、生きる上でとても大切なことだと感じています。

Kamakura kazoku/Daidaiの事業も、事例の蓄積や体系化が情熱やお人柄の次に大切だと実感します。同族経営の承継の現場で説得力があるのは、僕が得意な論理的な話ではありませんよね。同じような局面で他社はどのような判断をしているのかという事例を、よりお客様にフィットする形で、多くお伝えすることが大きな価値になるシーンを沢山見てきました。

承継の事例は公開されていないことがほとんどなので、経験する他ないと思います。関さんご夫妻の知見は、意を決して起業された数年前からとても大きな変化(というより深化でしょうか)があると第三者的な視点でも思います。これからも沢山の企業様との出会いがお二人をさらに成長させてくれるはずです。最近は日本を代表するような伝統産業の経営者様や多くの経営者、後継者(候補含む)、学者さん、学生さんとの交流を深められていますし、行政との取り組みも始まりました。後10年もすると間違いなくこの分野での第一人者になっていらっしゃるのではないでしょうか。僕はそう信じています。

自分も頑張らないとと思いつつ、人生を賭けて進む道が明確で少し羨ましいです。

次の世代により良い未来を残すためにともに前に進みましょう。

【浅井家・松本家・関家でのファミリーコラボ マーニー関にて撮影】

◆関さんご夫妻のこと 浅井さんご夫妻に語っていただきました

このコーナーでは珍しい、コメントをお願いしたのもご夫妻、その対象もご夫妻、今回はアルファフードスタッフの浅井さん(4代目来年100周年)ご夫妻に関さんご夫妻のことを語っていただきました。

関さん夫妻へのメッセージ

関清一郎さん(マーニーさん)と関尚子さん(セキナオさん)との出会いはコロナ禍のオンライン講座に始まり、家族ぐるみのお付き合いに至り、これからの未来に繫がっていきます。家族のCHO(Chief Happiness Officer)を目指すお二人との出会いを通して、僕たち家族もそれぞれの役割に着目し、絆が深まりました。お二人への感謝を込めて思い出を綴っていきます。以下は僕(紀洋)と妻(奈緒)の共著です。

出会いのきっかけ

僕と関さん夫妻との出会いは、2021年8月でした。「hintゼミ」というオンライン講座の同じ受講生としてマーニーさんからメッセージを頂きました。彼らがファミリー企業に「家族視点の事業承継」をサポートしていることを知り、早速オンライン面談を実施。情熱的なお二人との面談は盛り上がり、翌9月に鎌倉に赴きマーニーさんとリアルの初対面を果たしました。セキナオさんは「この後子供を迎えに行きますんで」と言いつつ、わざわざ駅前まで迎えに来て手土産を渡してくれました。面談の席で「是非名古屋に遊びに来てくださいよ!」という話をしたことを覚えています。そして早くも翌10月にそれは実現。関さんファミリー他、3家族が名古屋にお越しになり、僕の友人家族も交えて東山動物園に行きました。

家族ぐるみの付き合い(鎌倉⇒名古屋)

2023年5月、今度は浅井一家で鎌倉を訪れました。お二人をはじめ鎌倉メンバーが温かく迎えてくださいました。少し成長したお互いの子供たちも再会を果たすことができました。同年9月末にはDaidaiさんの「第3回家族視点の承継合宿」が名古屋で開催され、東京、静岡、大阪から現経営者とアトツギが集まりました。関さんご夫妻は参加企業の皆さんから厚い信頼を受けていました。情熱的で共感力が高いマーニーさんが深い関係を築き、セキナオさんが穏やかで細やかな気遣いでフォローしている姿が印象的でした。僕の役割は一応講師という事で「承継の覚悟」について語らせて頂きました。ひとしきり語った後に、妻から参加者の皆様に「この人(僕)は建前のカリスマだから」と一言。関さんご夫妻の興味が僕(紀洋)から妻(奈緒)に移り変わったのはこの頃です。

杉浦さんのご縁の輪、そして山形へ

2023年秋の「杉浦さんを囲む会」にマーニーさんが参加してくださいました。2024年春の会にはセキナオさんが参加され、それぞれがご縁を広げていく様子に感心しました。さらに、2024年2月には杉浦さんの経営者離島ツアーでご一緒に徳之島へ。ご縁が深まっていきました。6月には「山形県承継学アカデミー」に家族で参加。山形県が主催し、Daidaiさんが企画運営するもので、僕は事業承継の講師としてお招きいただきました。講義資料を作る過程で浅井家4代の「経営者の妻」が事業に与える影響を分析する中で、パートナーシップの重要性を僕自身も実感しました。なお、妻は「経営者のパートナーシップの改善を通して会社を良くしたい」と、経営者家族のファシリテーターになることを画策中とのこと。関さん夫妻と妻の新たな企みが始まりそうです。

最後に、関さんご夫妻とチームDaidaiの皆様に心から感謝しています。僕たち家族がそれぞれの役割に着目し、絆を深めることができたように、関さんご夫妻に関わる多くのファミリー企業の方々がより絆を深め、より「いい会社」となっていくことでしょう。僕たちもチームDaidaiの一員として一緒に良い未来を作って行きたいと思います。これからもどうぞよろしくお願いします。

浅井紀洋 奈緒

と熱量の半端ではないメッセージをいただきました。心より御礼申し上げます。

◆最後に関さんご夫妻にコメントをお願いしました

(関清一郎さん)

杉浦佳浩さん、浅井紀洋さん・奈緒さん、松本純さん…

ご多忙な皆さまに時間を割いて頂いた過分な言葉に、涙がとまりませんでした。。

「つくづく人に恵まれる。運だけはいい人だね」と、今自分にツッコミしています

そもそも私達は社会の中で何者でもありませんし、私自身には何もございません。

いま私にあるのは支えてくださる方々への感謝と

家族不幸せの原体験を糧にした「人間大好き・家族大好き」の想いだけです。

私の誕生日でもある昨年11月6日(末っ子息子も1月16日生まれであり、今回は116号と伺って、不思議な縁に驚いています)に

杉浦さんが素敵なメッセージをシェアなさっていました。

それは、「目に見えない幸せに気づくこと」というタイトル内の

「自分は誰かに支えられて生きていると感謝できる人は強い。」

というメッセージです。

今年、自分の未熟さによって苦しい場面が続いた際に携帯の待ち受け画面にして毎日毎日読み返して乗り越えて参りました。

「忘れるな、忘れるな。あの人達に支えて頂いたから、今のお前(関清一郎)があるのだ」と。

これからも生きていれば色々な事があるとは思いますが

感謝を忘れず、愚直に生きて参ります。

杉浦さん、仲間、家族とのご縁に心から感謝申し上げます。

これからも、どうぞ末永くよろしくお願い申し上げます!

いただいた御恩は、忘れません。

(関尚子さん)

このような素晴らしい機会を頂いたことに心から感謝申し上げます。

杉浦佳浩さん、松本純さん、浅井紀洋さん、奈緒さんのメッセージに

これから先どんな逆境でも乗り越えていける大きなパワーをいただきました。

皆様に心から感謝申し上げます。

言葉には、人の心を強くする力があると感じています。

杉浦さんがよく

「言葉の前に心あり、言葉の後に行動あり」と仰いますが、

美しい言葉は人の心を強くし、それによって人は行動することができるのだと思います。

今回のインタビューで杉浦さんが取り上げて下さった

「事業だけ承継はやらない。」

「家族を通じた生き方の承継を大切にする。」

この言葉に共感して頂けたことに、私達はとても勇気を頂きました。

家族は一番小さくて一番基本となる社会です。

「家族」という基盤が、しっかりと整うことで、どんなことがあっても毎日を前向きに幸せに過ごしていけるのではないかと思っています。

一方で、経営者は社会を良くするという大義のために、

24時間365日事業のことを考えがちです。

そして家族への説明、コミュニケーションは後回しになりがちです。

私は経営者の娘として育ち、父の倒産を目の当たりにし、経営者の孤独に家族として何かできることはなかったのか、と未だに自問自答を続けています。

父は、2022年4月に旅立ちました。

晩年に余命半年の宣告を乗り越え、孫である長男の小学校ランドセル姿を見るまでの約1年半、病と闘い抜きました。

家族を信じ、つながりを信じて最後まで諦めずに生きた父。

子供達3人はそんな祖父や、私達大人たちが仲間達と生きる背中を見て、

つながりの大切さに気づき始めているのかもしれません。

夫婦で起業してうまくいかないことが多く走り回っていた頃(今も走り回ってますが笑)

当時小学校1年生の長男から「関家は不可能を可能にする家族だよね。だからきっと大丈夫」と言われたことがあります。

「人と人をつなぐ人」として人間愛にあふれた杉浦さんや、次世代の孫達を愛してくれた父のように、私達も経営者と家族を繋ぐ架け橋として

人とのつながりを大切に「家族円満な事業承継」を広めて参ります。

杉浦さん、素晴らしいご縁に心から感謝しております。

今後とも末永くどうぞよろしくお願い申し上げます。

【新潟燕三条 玉川堂さんファミリーと一緒に家族写真】