極めている、そこには人の輪があり、人の和となっていること

ー杉浦佳浩

極めている、そこには人の輪があり、人の和となっていること


2020年 09月 07日

【今週の自戒】
〜極めている、そこには人の輪があり、人の和となっていること〜

【和】とは? 辞書を見ると
1 仲よくすること。互いに相手を大切にし、協力し合う関係にあること。「人の和」「家族の和」
2 仲直りすること。争いをやめること。「和を結ぶ」「和を講じる」
3 調和のとれていること。
とありました。
ここ数日、事業を極めている会社、お店に
触れることがありました。

大阪市内の商店街にある
コロッケ屋さん。
かれこれ40年ほど前から存在を
認識しています。
久しぶりに通りかかった先日、
開店前の朝9時ごろ、
店主さんらしき人も
社員さんと一緒になって
慌ただしく開店準備をしていました。

40年前は亡くなった先代の
お父さん?(顔がそっくりさん)と
二人でコロッケを揚げていたその人
おそらく私より年上でしょうか。

先日も変わらず店員の皆さんと
一緒になって作業をしていました。
しかも楽しそうに。そして店員さんも。
1店舗のみで営業規模拡大を狙わず
その商店街の人気店であり続けています。

あるIT会社、
ここ最近中堅社員がどんどん
辞めて行っていると聞きます。
数年前から
素晴らしいテクノロジー
素晴らしい連携先企業
華々しいリリース
ニュースメディアの常連さんでしたが
しかし業績は鈍化。
人の輪、人の和が欠けている。
どうも社長さんはそこが気にならない?

あるコンサル会社。
20名もいない会社。
その会社の社員さんへ
ある同業の上場企業の社長が
直接コンタクトをしてきて
『うちの会社に来ないか?』
と言ったそうです。
しかし、この言われた社員さん
どんなに待遇が良くても御社には
行かないと一蹴したそうです。
とその会社社長がニッコリと。
これも人の輪。

人の輪を大切にするからこそ
事業発展も盤石に。
【和】のあるところ
極みがあると思いました。

【和】を大切に。
今週もよろしくお願い申し上げます!

ここ最近、激しい変化への対応にへ
【和】を保って行くためにも
規模を追いかけないことも
大切に感じます。

大木は変化に順応できない。
雑草であり続けたいと思いました。

【予測不能な時代を生き抜く、雑草という戦略】

農学博士・静岡大学教授、稲垣栄洋(ひでひろ)氏の心に響く言葉より…

かつて、「大きいことは良いことだ」という時代が、間違いなくあった。
これは企業やビジネスの話ではない。
植物の世界の話である。

植物は、大きい方が有利である。
何しろ、植物は光を受けて光合成をしなければ、生きていくことができない。
隣の植物よりも大きい方が、より高い位置で光を存分に受けることができる。
大きいということは、それだけ競争力が強いということなのだ。

大きい方が有利である。
他の植物の影に入っては、十分に光合成をすることができない。
そのため、隣の植物も、もっともっと大きくなろうと背を伸ばす。
こうして、植物たちは、競い合って大きくなろうとするのだ。

恐竜の時代がまさにそうである。
恐竜の時代には、巨大化した植物が森を作っていた。
植物にとって体が大きいということは、他にも良いことがある。
植物をエサにしようと、草食の恐竜がやってくる。
背が高く、高いところに葉を茂らせていれば、食べられずに身を守ることができるのだ。
もちろん、それでは草食恐竜も絶滅してしまうから、恐竜は恐竜で背の高い植物を食べられるように、体を大きくしていった。

植物は、大きくなった恐竜に食べられないように、ますます大きくなる。
そして、恐竜は大きくなった植物を食べるためにに、さらに大きくなる。
こうして、植物と恐竜は、競い合うように巨大化していった。

こうなると、巨大化の競争は止まらない。
とにかく、巨大な者が有利である。
植物たちは、ライバルとなる他の植物や敵である草食恐竜と競争を繰り広げ、巨大化の道を進んでいったのである。

自然界は競争社会である。
強い物が勝つ、それが競争社会だ。
強くなるためには、大きくなることが効果的だ。
とにかく、巨大であることが強さの証しなのだ。

そのはずだった。
ところが、やがてそんな時代が、終わりを告げる。
じつは恐竜の時代の終わりごろになると、植物の世界に、ある「イノベーション」が起きる。
それが「草」である。
草は、大きくなることはない。
地面に近いところに生えるだけである。
「大きいことこそが、良いことだ」という従来の価値観を、草というイノベーションは、完全に覆した。
まさに新しい時代が到来したのである。

私たちが一般に「草」と呼ぶ草本(そうほん)植物は、巨大化した木が新しい時代に進化を遂げたスタイルなのである。
恐竜が繁栄した時代は、気温も高く、光合成に必要な二酸化炭素濃度も高かった。
植物の成長にとって、恵まれた環境だったのだ。
そのため、植物も成長が旺盛で、巨大化することができたのである。

しかし、やがてそんな時代は終焉を迎える。
そして、「環境が変化する」時代が訪れるのである。
この頃になると、マントル対流によって、それまで地球上に一つしかなかった大陸が、分裂し、移動するようになった。
分裂した大陸と大陸とが衝突すると、ぶつかった歪みが盛り上がって、山脈を作る。
すると山脈にぶつかった風は雲となり、雨を降らせるようになる。
こうして地殻変動が起こることによって、気候も変動し、不安定になっていったのである。

山に降った雨は、川となり、土砂を運び、やがて下流に堆積(たいせき)して三角州を築いていく。
草が誕生したのは、このような三角州であったと考えられる。
新たな時代に誕生した「三角州」という環境はじつに不安定である。
何しろ、いつ大雨が降り、洪水が起こるかわからない。
川が氾濫して土砂を削り取ったかと思えば、再び氾濫して、今度は土砂を堆積する。
川の流れは、まったくの気まぐれなのだ。

そんな環境では、ゆっくりと時間を掛けて大木になっている余裕はない。
そこで、短い時間に成長して花を咲かせ、種子を残して世代交代する「草」が発達していったのである。
「大きいことは良いことだ」と言われた時代から、「スピードと変革の時代」へと時代は移り変わっていったのである。

『雑草という戦略』日本実業出版社

本書の巻末にこんな言葉がある。
『雑草は困り者である。
やっかいな存在である。
それなのに、不思議なことに日本語には、「雑草魂」という言葉がある。
あるいは、「雑草軍団」という言葉もある。
スポーツの世界では、エリートではない無名の努力家たちは「雑草軍団」と称されるのだ。
エリート軍団と雑草軍団が試合をした場合、日本人の多くは雑草軍団を応援してしまう。
雑草とは、悪者の存在であるはずなのに、日本人は「雑草」という言葉を良い意味にも使ってしまうのである。
「あなたは、温室育ちの人ですね」と言われるよりも、雑草と言われたい人の方が多いだろう。
「雑草」がほめ言葉に使われたり、「雑草」と呼ばれて喜ぶのは、私が知る限り日本人くらいのものだろう。
雑草は、「逆境」と「変化」をプラスに転じて、強さに変えていった。
日本は、変化を好む国である。
不安定さに価値を見出す国である。
そう聞くと、そんなことはないと反論される方もいるだろう。
日本は島国で、国境を変えるような大きな戦乱もないし、革命もない。
しかし、日本の自然は不安定である。
常に変化していく自然。
そんな自然を見たときに、人々は刹那(せつな)を感じずにはいられない。
「今」の大切さを感じずにはいられない。
日本人は安定ではなく、変化する不安定さの中に価値を見出してきたのである。
仏教では、「諸行無常」と説く。
諸行無常とは、「この世に形あるすべてのものは、不定であり、たえず変化している。同じ状態を保っているものはない」という意味である。
そして、日本の自然には、とてつもなく大きな変化がある。
「天災」である。
日本は世界でも稀に見る天災の多い国である。
今に続く日本の歴史の中で、私たちの祖先は幾たびもの災害に遭遇し、それを乗り越えてきた。
毎年のように日本のどこかで水害があり、毎年のように日本のどこかで地震の被害がある。
現在でもこれだけの被害があるのだから、防災設備や予測技術がなかった昔の日本であればなおさらだろう。
大きな変化が起きたとき、日本人は強さを発揮する。
東日本大震災のときに、日本人はパニックを起こすこともなく、秩序を保ち長い列を作った。
そして、助け合い、支え合い天災を乗り越えたのだ。
そして、変化を乗り越えるたびに日本は強くなっていく。
逆境を力に変える。
変化を力に変える。
それこそが、この国の「強さ」なのである。
日本こそ、雑草に戦略を学ぶことのできる国である。
そして、「雑」の哲学を持つ国なのである。』

稲垣氏はこういう。
「雑草は踏まれても立ち上がる」というのは誤りだ。
「雑草は踏まれたら立ち上がらない」というのが、本当の雑草魂だという。
雑草にとって大切なことは種子を作ること。
いかにして種子を残すかに全力を尽くすのだという。
それが、予測不能な変化を生きる雑草の戦略だ。

『帝国データバンクの調査によると、金剛組のような千年以上続く老舗(しにせ)が7社。
500年以上が39社、300年以上が605社となっている。
200年以上は韓国ゼロ、中国9、インド3に対して、日本はなんと3000。
世界に7000あるといわれる200年企業のうち、実に半分近くが日本に集中していることになる。
また、老舗研究の専門家によれば、100年以上は世界の中でも断トツの10万軒以上にのぼるのだという。』(2011年、月刊致知2月号/“老舗企業を貫く志”)より

日本は、予測不能な変化を生き抜く力を、世界で最も持っている国。
だからこそ、この未曾有(みぞう)の危機のコロナ禍ではあるが、これも世界で最もうまく切り抜けられるはずだ。

日本は、変化を好む国であり、不安定さに価値を見出す国。
今こそ、心に、雑草魂をよみがえらせたい。

上記の【予測不能な時代を生き抜く、雑草という戦略】については人の心に灯をともすより引用しています。