秋の夜長、月明かりを楽しみつつ【残心】を活かしたい

ー杉浦佳浩

秋の夜長、月明かりを楽しみつつ【残心】を活かしたい


2019年 10月 14日

ひらがなだとイメージが湧きづらいですね。

『月影の いたらぬ里は なけれども  眺むる人の 心にぞすむ』
法然上人
月の光が届かない人里はないが、
月を見る月明かりを楽しむ、楽しめるのは
その人次第というところでしょうか。
見えているけど見ていない、
存在に有り難みを感じられない。

仕事上でもよくありますね。
この人が居ないと仕事も回らないのに
感謝のかけらもなくやり過ごす上司。。。。

先日、8歳ほど年上の先輩にビジネス界に
カンバックをお願いする場面がありました。
30代の社長、40代のCFO、そして私、
経歴、実績抜群な方で、
我々からするとある意味懇願に近い感じでした。

一晩考えます。

短いながらも真剣に受け止めてくださった翌日朝、

是非チャレンジしたいです。

のメール。私たちからすれば、
月の明かり(会社)をしっかり見てくださったことに感謝と
その月明かりがますます光り輝くものにしないといけない(会社の成長)と責任を感じ入りました。
人生のチャレンジに年齢も関係なく
常に一歩を踏み出し続けられるように。
今週もよろしくお願い申し上げます!

【残心】って知りませんでした。
言葉の響き、いいですね。
全てに心がこもっているか、そうでないか。
気持ちを途切れさせない。
これも意識していきたいと思います。
余韻を楽しめないと。。。

【「美しい所作」は、心とからだにいい】
東京大学名誉教授、矢作直樹氏の心に響く言葉より…

残心(ざんしん)、という言葉をご存知でしょうか?
弓道、剣道、柔道などの武道、さらに伝統芸能の世界でもよく使われる言葉です。
意味としては「それを終えた後、力をゆるめる、あるいはくつろぎながらも、まだしっかりと注意を払っている状態」です。
気持ちが途切れていない状態、とも言えるでしょうか。

日常生活でも、残心を生かしてみたらいかがでしょう。
ドアや襖(ふすま)は、静かに、最後まで閉める。
湯飲み、コップ、食器は、静かに置く。
静かに歩く。
無用な音を立てない。

これらは所作としても美しく見えます。
食事を済ませた途端、パタパタと立ち上がらない。
余韻を大事にしてください。
お茶を飲み、落ち着いてから片付けましょう。

食べ物を箸(はし)でちゃんとつまめるか、外出の際に階段を踏み外さないか。
こういう動作への注意も、年を重ねてくると大事なことです。
食べ物を箸でちゃんとつまめるというのは、脳機能はもちろん握力と視力がしっかりと機能している証拠です。
階段を踏み外さないというのは、同様に脳機能、脚力(腰、太もも、膝、ふくらはぎ、足首、足指など下肢全体の総合力)と視力がしっかりと機能している証拠です。

常に緊張する必要はないのですが、自分に注意を払う。
ここが大切です。
加齢で少しずつ難しくなりますが、なるだけ気持ちが途切れないよう、その動作を意識してください。
加齢によるからだの変化を知ることもできるでしょう。
すべては「今の自分」を意識することからです。

『自分を休ませる練習』文響社

たとえば、柔道においては、技を掛け、決まったと思った一瞬、気を抜き油断した隙(すき)に、相手に逆襲されるようなことがある。
そこで必要なのが「残心」。
技が決まったと思っても、勝負が決まるまで決して気を抜かず、意識の集中を切らさないこと。
しかし、昨今のスポーツ化された柔道では、「残心」はなくなり、勝った瞬間にガッツポーズをしたり、ピョンピョン飛び跳ねたりする。
所作としても静謐(せいひつ)さに欠け、美しくない。

現代人は、すべての動作において、急ぎすぎる。
急げば急ぐほど、忙(いそが)しくなる。
「いそぐ」から「いそがしい」が生まれたという。

残心には余韻が残る。
「美しい所作」を身につけたい。

上記の【「美しい所作」は、心とからだにいい】については人の心に灯をともすより引用しています。