心の安定を大切に、寄り道もまたよし

ー杉浦佳浩

心の安定を大切に、寄り道もまたよし


2021年 11月 01日

【今週の自戒】
〜心の安定を大切に、寄り道もまたよし〜

毎月のお遍路が目的ではありますが、その都度都度、
地元の食べ物、素晴らしい風景、偉人の生誕地、
歴史的建造物などを訪れることで、お遍路の厚みが
さらに増していく、思い出が濃くなっていく。
【寄り道】を味わうことも大切に。
先日の四国お遍路で、岩崎彌太郎の生家に
行ってきました。
岩崎彌太郎のスケールの大きさ、揺るがない強い意志を
地元に刻んで育ったことがよく理解できました。
写真は、当日頂いた資料。その最後のページ。
彌太郎さんのお母さんである美和さんが残した言葉。

一、人は天の道にそむかないこと。
二、子に苦労をかけないこと。
三、他人の中傷で心を動かさないこと。
四、一家を大切に守ること。
五、無病の時に油断しないこと。
六、貧しい時のことを忘れないこと。
七、常に忍耐の心を失わないこと。

まさにゴッドマザー、お母さんあっての岩崎家ということ。
この7つを日々思い返すと心の安定を手に入れることが出来る。

ここまで明確ではないですが、私も
小さな頃から、両親のおかげで、
心の安定を手に入れることができたように思います。
ピンチらしきことがあっても、
これはなにか良いことの前触れと
思えることが習慣化して育ちました。
なんとかなる、なんとかする
そんな気持ちで、寄り道を楽しめる人生を。
お天道さんは見ている。
それで十分。
今週もよろしくお願い申し上げます!
素敵な1週間を。

【人に遅れをとっても大丈夫】

浜松医科大学名誉教授、高田明和氏の心に響く言葉より…

《疲れた人は、しばらく道ばたの草に腰をおろして、行く人を眺めるがよい。人は、決してそう遠くへは行くまい。》 (ロシアの作家 ツルゲーネフ)

私たちは仲間に遅れをとった場合、非常に不安になります。
取り残されたという意識に苦しみます。
しかし、仲間は実はそんなに先に行っていないのだというのがツルゲーネフの教えです。

受験に失敗した場合がそうです。
現役で進学した同級生たちが大学生活のことを楽しげに話すのを聞くと、「もう追いつけないのではないか」という焦りにとらわれます。
しかし、翌年入学してみると浪人と現役はさほど区別なく、受験に失敗したことは、 長い目で見れば重大事ではないと思うようになります。

仕事にも同じことがいえます。
医学部を出て教授になれた人は羨望の的になるものです。
多くの卒業生は、一時的に講師や准教授、大学病院の部長になったりしても、 やがて大学を去って開業します。
教授として大学に残れるのは何人かしかいないので、 エリートだと目されるのです。

ところが、定年を迎えて大学を去ると事情が一変します。
最近は定年後、よい仕事に転職するのが難しくなっています。
介護施設や付属の医療施設の長になるのがやっとです。
しかし、長の職はなかなか空きが出ませんから、結局は知り合いの開業医のところで週に一、二回患者を診て収入を得るのが普通になっています。
教授になれずに開業して「遅れをとった」と落胆していた人のほうが、実は安定した仕事につけていたということにもなるのです。

ツルゲーネフの言葉は、休んでもいいから焦るな、先のことはわからないのだから、 自分のなすべきことに専念せよという意味にもなると思えるのです。
それだけではありません。
先頭を走ること、強く有能なことは危険でもあります。

中国に「直木(ちょくぼく)は先ず伐(き)られ、甘井(かんせい)は先ず竭(つ)く」ということわざがあります。
まっすぐに伸びた木はよい木材になるので、最初に伐られてしまう、おいしい水の出る井戸は真っ先に飲みつくされてしまう、という意味です。
つまり、トップを走っているとかえって危険だという教えです。

『名言の知恵』成美堂出版

本書の中で高田氏はこう語る。

『「人間万事塞翁(さいおう)が馬」という有名な言葉があります。
昔、中国の国境に翁が住んでいました。
ある日飼っていた馬が国境を越えて逃げたのです。
しかし、翁は「幸せのもとかもしれない」と悲しみませんでした。
果たして馬は何頭もの良馬を連れて戻ってきたのです。
しかし、翁は「不幸のもとかもしれない」と喜びませんでした。
果たして息子が落馬して足に大怪我をしたのです。
しかし、翁は「幸せのもとかもしれない」と悲しみませんでした。
果たして国境を越えて異民族が攻め込んできた時、息子は足が不自由だったので徴兵を免れたのです。
つまり、人生では何が起こるかわからず、幸と不幸はたやすく入れ替わるという話です。』

人生においては、先を走っていた人が、いつの間にか後ろにいた、という場合が少なくない。
あるいは、ずっと後ろにいた人が、知らないうちに先頭に立っていた、という場合もある。
その時、ひどいと嘆いたことも、後になると、それがあったから幸せになった思うこともある。
まさに、「禍福は糾(あざな)える縄の如し」であり、「苦は楽の種、楽は苦の種」だ。

ビジネスの世界でも、「後進の先進」というようなことがあらゆるところで起きている。
「後進の先進」とは、遅れていると思っていたところが、一挙に最先端に躍り出るということ。

たとえば、昨今のアジアやアフリカの携帯電話の急激な普及がそれだ。
アジアやアフリカには、日本のような電話網(固定電話)が発達していなかったため、一挙にインターネットやスマホに移行した。
一方、日本はその電話網を使わなければもったいないと、スマホの普及が遅れた。
これをリープフロッグ(カエル跳び)現象という。

人に遅れをとってもあせることはない。
倦(う)まずたゆまず、コツコツと努力を続けていけば、一周回って日の目を見ることもある。

上記の【人に遅れをとっても大丈夫】については人の心に灯をともすより引用しています。