ご縁結びのコーナー第43回 グリーンコンチネンタル株式会社 代表取締役 中村壮博様

ー杉浦佳浩

ご縁結びのコーナー第43回 グリーンコンチネンタル株式会社 代表取締役 中村壮博様


2018年 08月 15日

◆ビジネス発想の展開力にビックリ
私のサラリーマン時代、あらゆるコスト削減提案をしてきた経験があります。
それはあくまで、今あるコストを数%~数10%削減するお話。
それはそれでお客さんに喜んで頂きました。そんな私も、
本日のグリーンコンチネンタル社の中村さんに最初にお話をお聞きした時には
ビックリ仰天し、そんなビジネスアイデアですか!
と思わず大きな声を上げてしまいました。
それは、コストだった植栽を売り物に変えることで利益を生む
というものでした。
 
小売店舗(当時から家具、インテリア販売でオシャレ度の高いあのアクタス)
に対し、植物の醸し出す柔らかさにより店舗のイメージアップを実現しつつ、
単なるコストであった植物を商品へ変化させるという提案です。
しかも販売者を教育し、植物への関心も向上させていく徹底ぶり。
 
このアイデア溢れる中村さん、目指すマーケットは2,200億円規模の
ガーデニング市場だけではなく、住宅マンション市場 22兆円、
商業施設・オフィス市場 14.8兆円、ギフト市場 17.4兆円、
アパレル市場 9.2兆円、リノベーション市場 6.5兆円等々、
他にも、ウェディング、美容、インテリア、イベント、雑貨、飲食と
あらゆる市場に展開していこうとされています。
今回は、この中村さん(36歳)についてお伝えしたいと思います。
 
 
◆明るい苦学生から社会人へ
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学生時代の中村さんのお話を聞いてこれまたビックリ!
一言で表現すると明るい苦学生って感じです。高校まで私学に通い
そのままエスカレーター式に大学へと進学する普通の高校生
という感じでした。
進学間際にご家庭の事情で自活する必要性が出てきたそうで、
親御さんに負担を掛けたくないということで迷わず、大学は夜学に行き
昼間は仕事をする選択をされたそうです。
学生時代のお話をお聞きすると、とにかくキラキラ感がある大学生活
だったようです。以前お聞きした際、昼間はデル・コンピュータで働いていた
とお聞きしていたので、てっきりSE等システム関係の仕事をしていたと
思っていたのですが、これは私の完全な思い込みで、
絵に描いたような典型的な苦学生でした。
 
中村さんが昼間に働いていたデル社ですが、過去のテクノロジーの色が強く、
コンピュータオタクのような人が店頭で販売していました。
しかし中村さんが2回生の時に販売戦略が刷新され、
オシャレな販売員を店頭に配置する、所謂【顔採用】で働く
というものになりました。男前の中村さんはこれに応募し、
店頭でカッコイイ店員さんとして大活躍、月給30~50万程度を
稼いでいたそうです。
ということで、今回のインタビューで明るい苦学生と感じた次第です。
 
そのデル社での仕事は、日本初の有給インターンだったそうで、
貴重な経験とともに、社会経験豊かなお客さんと出会うキッカケ
にもなったそうです。20社の名だたる企業から内定はもらえていたものの、
就職について悩んでいる時に、当時の店頭に来ていたお客さんに
商社マンが多かったそうで、その方から、
『中村さんは肩書に左右される縦軸のメーカーでの仕事ではなく
世界中で横断的に活躍できる商社マンが良いのでは?』
という助言を受け、TOEICの点数は低かったものの商社を受けてみると
豊田通商に合格し、入社することになったそうです。
 
 
◆大活躍の商社マン時代
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豊田通商でも大活躍だったそうで、
サラリーマン時代のお話についてお聞きすると、とにかく上司やお客様
に恵まれたと中村さんは話します。
 
1年目に配属されたのがシニアビジネスグループで、老人向け紙オムツが
売れる仕組みをつくる事業でした。ここで中村さんは、マネーゲーム的な
川上、川下での販売売上の成績に拘るのではなく、
どこで原材料を調達するか?
どこから商品を仕入れるか?どこで販売するか?
使用済みの商品をどこで回収、処分するか?
というモノゴトの流れと、どこにプロフィットの機会があるか?
どこにプロフィットプールを設けられるか?
にフォーカスして仕事をしていたそうです。
 
1年目から実践力を身につけながら商社マンとしての勉強を積み、
2年目には福祉用具、介護用品のレンタル事業を担当するようになったそうです。
この頃まだ「紙オムツ」という言葉がなく、【IoT】を組み合わせ、
尿もれ検知の新商品も開発していたそうです。
あまりにも検知しすぎて大失敗となったそうですが。
この頃の経験が現在の植物IoT開発へ繋がっていて、
IoT✕リアルがオモシロイとまさに思ったそうです。
 
3年目で経験したのがM&A。
福祉用具のカタログ通販を主事業とする企業を買収する仕事でした。
買収後にはその事業を成長軌道に乗せるため、商品調達、流通~物流の見直し、
選定を一気に着手実行しました。
この経験でビジネスの全般が見えてきて、
「商社を起点にすれば、360度全てがお客様である、
こんなオモシロイビジネスはない」と思ったそうです。素敵ですね。
 
4年目には中国を目指すことになる中村さん、ここでもチャレンジが続きます。
中国に駐在することもなく、「中国に行きたい!」と上司に進言したところ、
会社のミッションとして90日間のテストマーケティングを許されたそうです。
なかなかあり得ないですよね。
これで、日本の総人口よりも多い高齢者がいる中国へ(当時1.6億人が高齢者)
新規事業開発のため渡りました。この期間で、北京、上海、成都のスーパーで
展示会を開催しし、これが後々メチャメチャ売れていったそうです。
 
ここから日本での仕事も並行しながら 90日ペースで出張し、
中国に通う商社マンとして益々活躍されることとなります。
4年目の若さで、成果結果そして行動(中国等々への)に対して
社内からヤッカミが出るくらい活躍されています。
それでも、当時の役員(常務→現在副社長)が直接面談をするほど
目を掛けて貰っていたそうです。スーパーな待遇ですね。
 
 
◆尖閣問題から草炭への出会い、そこから起業への道へ。
大活躍の商社マンだった中村さんに転機が訪れるのが5年目。
それはあの尖閣諸島問題でした(2012年9月)。
テレビニュースでも連日流れた暴動、略奪、破壊行為が日常化している最中に
中村さんは被害が甚大だった成都にいたそうで、現地のローカルスタッフに
助けられ、変装までして移動、身動き取れない中で、現地の中国人から
耳にしたのが、【草炭】のお話でした。草炭は中国の寒冷地に存在する腐葉土、
栄養度が高いそうで、これを使って植物を育てると(肥料も不要)、
圧倒的なスピードで成長し、栄養価が高い農作物が収穫できるそうです。
この土の面白さに惹かれ、個人的に(ボランティアで)日本の
ホームセンターを紹介しビジネスのお手伝いをされていたそうです。
この草炭との出会いから、自分で起業することを考え始め、
29歳で決断、30歳で起業を選択することになりました。
 
 
◆大手企業との大プロジェクト進行中
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起業当初はこの草炭を日本に輸入、販売しながら、生計を立てていたそうです。
そこから植物を育成する施設を大阪市から安価で提供してもらうことになり、
拠点を大阪に移動(当初は愛知県で創業)。
冒頭のアクタスでの植物販売に繋がっていきます。
 
現在では、空間演出、植物の委託販売~卸売、新規就農者支援にまで
広がっています。生き生きとした植物を維持する役割の【ボタニスト】も
現在では50名を抱えて、植物と人間の関わりをより良いものにする活動も
広げていらっしゃいます。
 
また、大手電機メーカー、空調メーカーとの大プロジェクトも進行中で、
現在では9社、12個のプロジェクト、国内外問わずに、植物IoT、
室内でありながら外との変わらない空間を再現する壮大な取り組みに
チャレンジされています。まさにお名前の【壮】の字のとおりですね。
 
私も観葉植物を枯らせてしまった苦い経験があります。
私のようなトラウマとなっている人たちの問題を解決して、住空間~商業、
オフィスに緑が溢れる社会を創出しようとされています。
今後益々のご活躍が楽しみです。
 
下記記事もご参考に。
新進起業家列伝 商社マン→グルーンコンチネンタル社長 中村壮博さん
先端グリーンビジネス「植物IoT」とは何か

 
 
※このコーナーは、お世話になっている、
ブレイン・サプライ社が毎月発行している【ブレイン・サプライ通信】に、
私が日々の出会いの中で、仲良くして頂いております、
企業様、経営者様について話題をお伝えするコーナーである
【今月の縁結び】と連動している企画です。
内容に若干不明な場面もあるかもしれませんが、ご容赦下さい。