第83回ご縁結びのコーナー 株式会社平田牧場  新田社長さま  〜美味しいトンカツには訳がある ど真剣の取組 地元愛について〜

ー杉浦佳浩

第83回ご縁結びのコーナー 株式会社平田牧場  新田社長さま  〜美味しいトンカツには訳がある ど真剣の取組 地元愛について〜


2021年 12月 10日

会社 HP : https://www.hiraboku.info/
通販サイト:https://www.hiraboku.com/

私、実はめちゃくちゃトンカツ好き。。。毎日食べても問題ないくらい。そこで、いつもホスピタリィティー高く迎えてくださっている、昨年訪問させていただいた平田牧場さんについてお伝えしたいと思います!

今回 お伝えしたいと思ったこと二点。
食いしん坊を自認し、脂っこいもの、お酒大好き、40才前は120キロ近くまで膨張しておりました体型も加齢とともにあっさりしたもの、現在は四国88ヶ所歩きお遍路中もあり断酒中。ここ数年は80キロ代(まだデブですが)あたりをキープしています。一番好きな食べ物のトンカツ!しかし、胃もたれ、胸焼けになることも多くなり、好きなトンカツは自然と封印するようになっていきました。しかし、数年前に平田牧場さんの都内のお店でトンカツを食べて、全く胸焼けしない、脂っこさを感じない(あくまで個人の感想ですが)めちゃくちゃ美味しい、その秘密を知りたいと思ったこと。
もう一つは、実際に、昨年訪問させていただき、鳥海山の素晴らしい景色、海、川、緑、なんて豊かな自然、山形県酒田市の素晴らしさを感じ入ったこと。酒田入りした際は、前日、福島県で仕事をし、早朝から列車に揺られながら向かったのですが、徐々に近づいてくる鳥海山に車窓から見惚れておりました。酒田の地で、地元での雇用創出に貢献しつつ、健康創造企業として素晴らしい取り組みを実践されている平田牧場さんの魅力をお伝えしたいと思います。

◆美味しいトンカツなワケ
何度も申し上げますが、本当に美味しいトンカツ、毎月何度も足を運ぶようにさせていただいている平田牧場さんのお店、関西人の私には馴染みはありませんでしたが、東京、関東圏、東北ではかなりのブランドであることを知りました。
・面白い経験を昨年の1月頃に、【豚肉が消え、灰汁が出なかった鍋事件】がありました、友人宅で鍋パーティーをしますと声がかかり、私から美味しい豚肉を贈るのでそれを鍋にと伝え、楽しみに訪問、さぁ食べましょう!と鍋を開けた瞬間、一同、言葉を失いました。豚肉が消えている、そして綺麗な油分が鍋に浮いている、そして灰汁が全く出ていない。。。。私はしゃぶしゃぶのつもりでしたが、友人はちゃんこ鍋感覚で全ての具を先に入れて煮立ったところでテーブルへ。そうしたところ、上記のようなことに、いかに繊細で、大切に育てているかをこの事件で知ることになりました。最高の肉なし出汁を味わうことにもなりました。
・新田社長が語る3つの美味しい理由
私のトンカツ大好き発言に、喜んでくださった新田社長から、日本一美味しいトンカツ、毎日食べても飽きないトンカツ、トンカツ好きの人がリピートしたくなる豚を育てていますと応えてくださいました。その美味しさの追求に大切にしていること、3つある、それが【種】【育】【産直・加工】とのこと。
【種】・・・平田牧場純粋金華豚と平田牧場三元豚この2つ種を自社で改良を重ねて作り上げたこと。金華ハムで有名な中国の金華豚を改良し肉質を損なうことない高級ブランド豚へ、和牛でいうA5ランクの格付け認定を受けています。食、流通に詳しい知人に、三元豚の元祖は平田牧場さんなんですよと聞かされたことがあり、それを質問してみると、ニッコリ、確かそうですが、もう三元豚が一般化しているので声高に元祖とは言っていないそうで、このあたりも素敵だなと思った次第です。
【育】・・・種にこだわりを持っていくと次は、育てることへのこだわり。家畜に米を食べさせたパイオニアが平田牧場、家畜の飼料といえば、トウモロコシ、大豆の搾りかすが一般的、そこに常識を覆して人が食べる米を食べさせてみると肉質、甘みが向上することがわかり、こめ育ち豚へのプロジェクトを開始、そこから20数年で今は飼料配合割合の一番多くなったのが飼料米に。2018年一般社団法人 日本養豚協会(JPPA) が開催する、飼料用米活用畜産物ブランド日本一コンテスト2018年にて飼料用米プロジェクトが最高賞の農林水産大臣賞を獲得するまでになっています。この取り組みから、ブロイラーや和牛の飼料にも飼料米が活用されるようになり、まさにパイオニアが平田牧場という位置付けになります。
【産直・加工】・・・40年以上前から無添加にこだわったポークウィンナー等の加工品造り。一般的なウィンナーには、リン酸塩、発色剤(亜塩酸Na)、酸化防止剤、pH調整剤、保存料等が入っているのが当たり前。しかし平田牧場の日本の米育ち三元豚極みソーセージには、昆布だし、鰹だし、椎茸だし、帆立だし等が入っています。1970年代に「きちんと腐る食品を作ろう」をコンセプトにドイツからハム・ソーセージ作りのマイスターを招き、その技術を徹底的に学び、1986年ついに無添加ウィンナー誕生にこぎつけます。トンカツのパン粉のサクサク感、トンカツソース、サラダドレッシングその他の調味料に至るまで自社で開発し、直営飲食店舗、自社通販で安心して購入できる強み。自社で品種を改良し、丹精込めて育て、そして加工、流通販売まで自社で行う。これが美味しさの理由です。

◆平田牧場ってどんな会社?
売 上:143億円(2020年3月)
従業員数:約600名
創 業:1964年12月
Brand statement:いちばん丁寧なブランドになろう
直営農場:11+提携農場36(北海道、秋田、岩手、山形、宮城、福島、栃木)
ミートセンター、加工場、産直販売店、外食小売物販店、営業所、グループには、運送会社、結婚式場、ゴルフ場、観光施設として登録有形文化財を所有しています。
・健康創造企業として実践されている取り組みについて
→10年以上前から社員全員が禁煙を実践している。新田社長は30年近い禁煙を実践中。
→歯の健康は、体全体への健康の第一歩、口腔ケアを福利厚生の一環で【歯のメンテナンス補助制度】を全社員及びその子供に適用しています。予防歯科の世界的権威の日吉歯科診療所(酒田市)からの働きかけもあり社員の健康はまず歯の予防を謳っています。
→ロカボメニューを開発、ローカーボではなく、ロカボ。ローカーボは極端な糖質制限を含む概念であり、平田牧場としては適正糖質を守るということで、ロカボの考え方、適正糖質に合わせたメニュー開発を行っています。
■低糖質ごはん:約30%糖質をカットしたごはん。無農薬・無添加で作られたこんにゃく米と山形県産つや姫を一緒に炊き上げたごはん
■金華豚しょうが焼き弁当:こちらにも低糖質ごはんを活用し、一食あたりの糖質量を40g以下に抑えています。このほかにも、ロースハム、焼きハンバーグ、荒挽きフランクプレーン、煮込みハンバーグにもこのロカボメニュー開発に注力しています。

私が昨年、平田牧場本社に訪問させていただき、事業のこと、各施設のこと、本業の素晴らしさはもちろんだったのですがそれ以上に地域の中で存在感を感じたこと、それが、文化財の所有と運営、赤字経営難だった大学の更生、スタートアップ支援でした。
■登録有形文化財 舞妓茶屋 相馬楼と併設されている竹久夢二美術館の所有と運営、地元にとって大切な歴史、文化の遺物を後世に残す、そして運営していくところ。相馬楼のHPはこちら。
■現在の平田牧場の代表は、新田嘉七さん、先代でお父様の嘉一さんは現在87歳、経営難になっていた地元の大学、東北公益文科大学の再建へと声がかかり、2009年から理事長に就任、現在は黒字化を達成しています。
■スタートアップ支援について、山形県鶴岡市に本社を置く、Spiber(スパイバー)株式会社と言えば、時価総額や資金調達ランキングニュースの常連のスタートアップ、同社に初期段階で出資しているのが新田社長、Spiber社以外にも、他にも地元のスタートアップ複数の会社に応援していきたいという気持ちで出資をしています。

地元に根ざした経営、雇用創出が第一義とコメントされていましたが、文化財保有、大学経営、スタートアップ支援はその気概の表れと感じました。また庄内空港の開港にむけての多額の寄付も地元の利便性向上のために行っていらっしゃいます。
さらに、今年の10月には1876年当地に開業した旧割烹の小幡楼(1998年に廃業)が復活します。その運営も平田牧場の新規事業として受託することに。(参考:庄内日報より)こちらは、映画「おくりびと」のロケ地となった素晴らしい場所、新たな息吹を吹き込み賑わいが戻るようにと活性化への取り組みがスタートします。

過去には大きな分岐点も。経営の舵取りとして歴史的大きな決断をされたこと、それは全盛期のダイエーとの取引をやめたお話。当時平田牧場の売上の90%はダイエーだったとのこと、値下げ圧力に屈することなく、取引を自らやめる決断をして、消費者と対話しながら食の安心安全、健康創造企業への道を歩むことに。当時を振り返って、新田社長は、相当の経営危機だったが、やることないので社員みんなで野球を毎日やっていました。と話してくださいました。

◆飢饉にも耐える、田畑を守る、日本の食を守る、究極のSDGsへの取り組み
ここ最近、ハリボテのように、SDGsやっています!と繕っている会社も見受けられますが、平田牧場は40年前から多様な取り組みを実践しています。
■50年近く継続している消費者との対話交流(庄内交流会)から、飼料米を取り組む。前述のこめ育ち豚の飼料に米を与えていることを伝えましたが、そのきっかけは、今から50年近く前、畜産の現場見学に消費者が泊まり込みで酒田に来てくれた時のこと。この豚が食べている飼料はどこで作られていますか? 国内で採れた飼料をなぜ与えないのか?当時もし、日本産の飼料に替えようとすると、ゼロが一桁違っていた、数%の違いならまだ替えられたが、到底難しい。そこから、当時は家畜に米を与えることは一般的ではなかった、米は神様のお供物でもあり、抵抗感もあったが、まず米を食べさせることからはじめたら美味しい肉質になったことから、減反政策を取っていた日本の田んぼで飼料米を作ること。そこに乗り出します。元々ご親戚に田んぼ3枚からスタートし、品種選定、転作の補助金との兼ね合い、多くのトライアンドエラーを繰り返しながら、現在は平田牧場の飼料米作付面積(協力農家で作付)は2,239ha(2018年現在)となっています。実際の収穫数値でいうと、20万俵となっています。
同社の掲げる飼料米の意義を見てみると、その想いの深さが浮かび上がります。
1. 食料自給力を飛躍的に上昇させるモデルであること(国内の減反田約100万haを耕作することにより穀物自給率を20%アップできるモデル)
2. 社会の宝である子供達に、しっかりと維持管理された国土を渡せること
3. 世界に誇れる日本古来の水田文化を守れること
4. そこから収穫できる米を家畜に与えることで、遺伝子操作のない安心、安全、高品質な畜肉が生産出来ること
5. 平成五年のような大凶作時にも米が不足しないこと
6. 家畜生産の排泄物から作られる質の高い堆肥を土地を戻すことで土地を肥沃に出来ること
7. 疲弊している農村に活力を与えること
8. 環境破壊、人口爆発による食料の奪い合いに備えた食料安全保障を図ること

上記の6番にある堆肥の取組もすでに行っており、持続可能な循環型農業として実践されています。

■庄内FEC自給ネットワーク構想について

・2019年2月、用地面積31ha、太陽光パネル66,440枚、総工費約50億円、一般家庭 5,700世帯分の電力を供給する庄内・遊佐太陽光発電所が稼働しています。地域の自然資源である「太陽光」を活かす。原発のない社会をめざして、省エネルギーをすすめながら再生可能な自然エネルギーによる電気の普及をを目指します。地域の自然資源である「太陽光」による発電で、年間で二酸化炭素 9,200tに相当する地球温暖化物質を削減しています。
工事の始まったのは2017年、ということはそれより以前にこの発電の仕組みが持続可能な地域社会の実現を考えてこられてきた証。今後は、自社工場の運営にも活用していこうと想いは広がります。
この太陽光発電だけでも素晴らしいお話ではありますが、エネルギーだけのお話ではなく、【FEC自給ネットワーク】を構想し、取り組みをしています。

F→Food(食料)、E→Energy(エネルギー)、C→Care(福祉、助け合い)
太陽光エネルギーを売電した利益を、食料の部分で農業後継者育成、技術の継承、生産加工の新事業の創出、エネルギーの部分で、更なるご当地エネルギーの開発支援、福祉の部分で、地域福祉の機能整備、移住定住の受入に活用して行こうという取り組み。牧場という名前を冠にしていらっしゃいますが、その枠では到底ない幅広い、地域貢献だと思います。

・堆肥を中心にも地域資源循環の取り組みも

上記の図を見ていて、まずは考える、仮説を立てる、検証し、実行し、仲間を増やしていく、資源循環の実践が絵に描いた餅ではなくキチンと循環が固有名詞で動いていること本当に素晴らしいと思います。トンカツで使った後の廃油を循環利用して、農機具の運転に使う取り組みも行っています。

◆今後の展開、コロナ禍を乗り越えて
この一年、東京駅駅前、日本橋、六本木ミッドタウン等の都内の一頭地にある外食部門は惨憺たる状況だった中、数年前から力を入れていた通販やテイクアウト、店舗での物販へのシフト、その時々の環境の変化に合わせできることをやり切ることにフォーカスした結果、巣ごもり需要の影響もあり堅調に推移し、売り上げ全体としては上昇基調にあるとのこと、これからの時代は変化対応力がまさに大切と新田社長のコメント。
私から最近出された金華豚 濃厚ラーメンめちゃくちゃ美味しいですね!とお聞きすると笑顔で応えていただきました。こちらも化学調味料不使用の自信作。商品開発も熱心です。
昨年訪問した際に、新田社長から、膝の痛み(関節痛)が和らいだ話を聞きました。それが新領域の商品、低分子コラーゲンペプチド
。新鮮に大量に取れる、素性の分かる、豚骨から抽出した、顆粒タイプ、非常に粒が小さい低分子コラーゲンを開発製造されています。私自身は関節痛はなかったのですが、私の父(85歳)が昔は片手でビールジョキを飲み干していましたが、最近は両手で飲んでいたことを思い出し、実家にこのコラーゲンを持ち帰り、とにかく1ヶ月続けてみてと説得、神経痛系には効果は薄いと新田社長から聞いていたので確率50%で毎日の味噌汁にコラーゲンを入れて飲み続けた結果、居酒屋で嬉しそうに片手でジョッキを持つ父の笑顔を見ることができました。もう何年ぶり?忘れるくらいと喜んでいました。またこのことを新田社長に報告をさせてもらって笑顔の連鎖となった次第です。このコラーゲンのような、豚本来が持っている機能の深堀を今後も注目し探求していこうされています。

食料自給率100%を超えている山形県の中で、企業理念の健康創造企業として変革し続ける、酒田市の素晴らしい平田牧場、これからも注目し続けたいと思います。